※作者注意


この話は、「そこに〜」を考えた時に一番最初に出てきたシーンです。
ちなみに、本編ではシリアスになっていますが
こちらは、バカっというか、憐れな話です。
本編の「せつなーい(?)」というイメージが崩れる恐れ大ですので
本編の雰囲気を壊されたくない方が、読むのをオススメしません。
この話は、あくまでバカ話。もしくは、作者のばかっぷり披露ですので
「バカでもOK!むしろそれが好き!」っという方のみお読みください。
この話を読んで、本編のイメージが壊れた。
載せて欲しくなかった。等の苦情は受け付けません(笑)
ご了承してくださった方のみ、続きをご覧ください。





もうひとつの 「そこに存在するもの」




そりゃぁさ、何でも協力するって言ったさ。
俺はね、俺の出来る事をしようって決めてたさ。
だーけーど。これはないっしょ?
つーか、酷くね?
けど、むしろラッキー?
本気か!俺!?
ってか、待って。ちょっと待って。
だから和希さーーーん、待ってつーの!!
「んっ・・・」
未来の柔らかい息遣いが闇の中に響く。
「やっ・・・あ・・・」
汗ばむからだをくねらせて、愛撫から逃げようとする様が可愛らしい。
柔らかい胸の感触が心地よくて、つい溺れてしまいそうになる。
「未来・・・好きだよ・・・未来」
和希さんは、俺の口を借りて、俺の声で愛を囁いていた。








「気持ちのいい天気だな〜」
前を歩いている、俺よりも少し背の高い男が、
気持ちよさそうに伸びをした。
確かに、彼が言う通り初夏の空は澄んでいて気持ちがいい。
真夏の空ほど濃い青じゃないけど、
水色の絵の具を溶かした水みたいな空だ。
吹く風もさわやかって形容がぴったりだ。
うん、気持ちいいよ。確かに気持ちい。
だけど・・・
あんたの後姿から空が透けて見えます!!
透けてますよーーー和希さん!!!
ってか、幽霊のクセに、気持ちいいとか感じるんかい!
突っ込みたいのは山々だが、
傍にいる未来に気付かれたくないので黙っておく。
ああ、俺ってば可哀想・・・
「こんな日は遊びに行きたくなるね」
どこに行くんだ、どこに。
いや、まずあんたは未来の傍から離れないじゃないか!
ちくしょう!心の中で突っ込むのはストレスを感じるぞ。
「堂本くん、君もそう思うだろ?」
和希さんは、振り返って天気と同じ爽やかな満面の笑顔を浮かべた。
まあ、幽霊に爽やかも何もあったもんじゃないが。
っつーか、話しかけるなー話しかけてくれるなぁー。
和希さんの声は俺にしか聴こえないんだから、
ここで答えたら俺の負けだ。
俺が独り言魔人の変態になってしまう。
「どーうーもーとーくーん?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぜってーこの人、俺で遊んでる。
決定、マジで決定。この人性格悪い。
俺が困ってるのわかるくせに、こうやって話しかけてくるんだ。
俺が聞いた未来の話ってなに?
なぁ、優しくて頼りになって、カッコいいお兄ちゃんって誰?
マジで俺の目の前にいる人が、未来の言う完璧なお兄ちゃんなのか?
未来さん!教えてーーーー!・・・て、訊けるといいなぁ。
訊いたら俺、変人あつかーい!
ちくしょーーーーーーー!!!
「つまらないなぁ〜どうして無視するのかなぁ〜
僕の声が聴こえない訳無いのになぁ〜」
和希さんの目に、ふふふん、って笑いが浮かんでる。
からかって、おちょくってる目だよ。
「・・・いい天気です・・・・」
負けました・・・・(涙
何も言わなかったら、延々絡んで着そうなんだよ、この人。
「そうね、気持ちのいい天気よね」
俺の隣で、未来が空を見上げた。
未来さん、ありがとう。
俺の独り言にならなかったよ、会話が出来たよ。普通の人間と。
「ホント、いい天気だよな。うん」
こんな日は遊びに行きたくなるよな、と言おうとしてやめた。
さっきの和希さんと同じことを言ったら
「真似された」とかって、また絡まれるに違いない。
『立花和希、趣味:堂本広いじめ』
っと、履歴書を書くんなら趣味の欄にそう書くだろうってくらい
和希さんは俺に絡んでくるんだから。
まあ、幽霊に履歴書なんて必要ない。
ついでに言えば、和希さんは生前は
フリーのコピーライターなんて仕事してたらしいし。
履歴書なんて必要なかっただろう。
いや、違う。今はそんな事はどうでもいい。
まあね、いい人だよ?
うん、色々教えてくれるし、話してて楽しいよ?
でも俺にしか見えないんだよーーー!
俺の独り言になるんだよーーー!
・・・・・・・・勘弁してください、マジで。
「こんな日は、授業になんて出たくなくなるね」
・・・ホントに、この兄妹は・・・
「なんだよ、真面目なお前がめずらしいな」
呆れてるのがばれないように、笑って未来の頭を小突いた。
やだね〜この、似たもの兄妹が!!






いつものメンツで、いつもの昼飯。
変わり栄えのしない、コウ、ハル、未来、んで俺。
この4人で学食のテーブルを囲んでいる。
学食の飯はいいね〜うまい。
一人暮らしだとまともな飯にありつけるのは、学食くらい
あとは、まあ、弁当とかそんなもんだ。
自炊なんてしません。俺、料理は殆んどできません。
だから、ここぞとばかりに食う。
昼飯は食う。
日替わりのAランチと、カツ丼、んで、デザートにプリン。
甘いのは好きです。必要です。
今日のAランチは、カレーピラフと海草スープ。
うまいんだよ、これが。
「炭水化物ばっかりだね。若いからって油物ばかりとると
体に悪いって知ってるかい?まあ君は健康そうだけどね。
野菜を取るのは大事だよ。」
何かが後ろで言ってる。
いや、無視するぞー無視無視無視。
俺にはきこえなーい。
幽霊の声なんて聞こえないぞ。
「ってか、ヒロ。お前食いすぎじゃないか?」
「確かに。それで太らないんだから厭味よねぇ」
トレイの上の食料を眺め、コウとハルが嫌そうな顔をした。
「うっせー。俺は肉体派なの。これくらい食わないと体がもたねーの」
こっちも無視。
っつか、皆して同じような事言うな。
何か俺の食事が間違ってるみたいじゃないか。
「ん〜でも、野菜も食べないと体に悪いよ?」
遠慮がちに、未来は和希さんと同じ様なことを言う。
なんでこの兄妹は、こんなに同じ事ばっかり言うんだろう?
これこそ、和希さんの教育の賜物なのか。
「野菜も取ってる。海草スープの海草もカツ丼の玉ねぎも野菜だろ」
「それはバランスの取れた食事とは言わないの」
反論は、おハルにぴしゃりとしてやられる。
どうやらここに、俺の味方はいないらしい。
「バランスの取れた食事ってのは、俺の食事のことを言うんだよ」
偉そうに言うコウのトレイの上には、ベジタブルカレーと温野菜のサラダ。
それとフルーツの盛り合わせ。
それってバランス取れてるのか?
「堂本くんも体は筋肉質なのにねぇ。まあ、その筋肉を保つための食事なのかな?」
「そう!俺は筋肉質。だからこの体を保つ為に肉もとらないといけないの」
ちょっとだけ俺に肯定的な意見に、力いっぱい賛同して後
・・・気づきたくない事に気がついた。
「は?」
同じテーブルを囲んでいた3人の、驚いたような呆れたような視線が痛い。
未来の傍に立っていた人(?)は、顔を背けて肩を小刻みに震わせている。
「何が『そう』なのよ。あんたの筋肉は油物で出来てるわけ?」
おハルは、呆れてため息をついた。
「前から言おうとは思っていたが・・・ヒロ、お前最近独り言っぽい発言が多いぞ」
コウの言葉に、和希さんは堪らないという風に声をだして笑い始めた。
「いや・・・まあ・・・若いうちはまだ大丈夫なんだよ・・・」
ちくしょーー、何が独り言だ。
俺はちゃんとしゃべってるんだよ。
相手がいるんだよ!
・・・幽霊だけど(涙)
「若いうちの食生活の乱れは、後になってから響いてくるのよ?」
未来・・・お前さんの言葉が一番胸に突き刺さりました。







なんて平和な時期を過ごしていたのは、つい一ヶ月ほど前だったと思う。
なのに、なんで今この状況なのか。
一糸纏わぬ、生まれたままの姿ってやつの未来がベッドに寝ている。
俺は、その上に覆いかぶさるようにして、その肌を堪能していた。
いや、堪能させられていた。が正しい。
俺の意思じゃない。
いつの間にか、和希さんに乗っ取られているんだ。
俺の体返せーーー。
事の発端は、ちょっと前。
和希さんを愛していると言った未来。
未来を愛していると言った和希さん。
この2人は、愛し合っているのにお互いを確認できないで居た。
俺は、未来に和希さんが見えることを打ち明けて。
そして、『証明して欲しい』と乞われた。
俺だってさ、証明したかったんだ。
だから、和希さんから聞いた、俺の知らない未来の話をしたり
色々したさ。
俺なりに努力した。
俺はきっと何も悪くない。
で、なんで乗り移られてるわけですか?
ちょっと、お2人さん!!
「ずっと昔から、お前にこうして触れたかった。
兄として許されない事だってわかってたけど・・・愛していたよ、昔から」
「本当に・・・お兄ちゃんなのね・・・」
「本当だよ。本当に僕だ」
「私も・・・ずっとお兄ちゃんが好きだった」
「今は・・・もう僕の体はないけれど・・・ずっと抱きしめたかった」
「なんだか、変な感じ・・・話し方でお兄ちゃんだってわかるのに、
姿は堂本くんなんだもん」
「そうだね・・・彼の体を借りているから」
いや、貸した覚えないし。
つーか、許可した覚えもないし!
「目を閉じておいで。僕の言葉だけ聞いて、僕を感じて」
勝手に愛を囁くなーー!
『悪いね、堂本くん』
頭の中に声が響いた。
ごめんじゃねーよ。やめてくれよ。
『う〜ん、やめてといわれてもねぇ・・・男はこうなったら止らないでしょう』
冗談めかした声がまた響く。
冗談じゃないって・・・いや、マジで。
確かにね、ムスコは反応してる。
男の悲しいサガなのか、和希さんの意思なのか・・・
さっぱりわからんが、反応してる。
もうビンビンに元気です。
だーけーど!俺にその気はねぇ。
・・・多分ねぇ・・・と、思う。
お、俺だって男ですし・・・未来は可愛いと思うよ。
美人ってわけじゃないけど、守ってやりたくなるような、そんな雰囲気の子だ。
その未来が、こんな格好で全てを許してくれてる状況で・・・
ここで、俺が止れるかっていったら無理かもしれない。
据え膳食わぬは男の恥って言葉もありますし・・・
ええ、そりゃー無理かもしれないっすよ。
だからって・・・これはないだろう!!
「お兄ちゃん・・・」
「愛してる・・・大好きなんだ、未来」
柔らかな唇にキスを落とすと、その感触は妙にリアルだ。
柔らかくて温かくて、気持ちがいい。
『未来は可愛いだろ』
自慢するなーーーっつか、こんなん自慢にもならんわ。
大体、こんな事になって、次からどうやって未来の顔をみりゃいいんだ。
『大丈夫、これは僕と未来の事だから。君は気にしなくてもいいよ』
よくねぇ!俺が気になる。
ってか、俺の意識がないならまだしも、俺には意識も感触もあるわけで・・・
言ってみれば、友達が出演しているAVを見ているようなもんだ。
感触が有る分、それよりも悪い。
『君が言わなければ、未来は気にしないよ。君の意識は無かったことにすればいい』
そうもいかんでしょうが!
頭の中で勝手をほざく声の持ち主は、
数年ぶりに愛しい女に触れられる喜びをかみしめているのか
それとも、俺をからかっているのか・・・
わからんが、無責任な事をほざいてる。
「お兄ちゃん。お兄ちゃん。大好き」
首に絡められた細い腕。
密着した柔らかな胸の感触。
潤んだ瞳が、じっと俺を見つめる。
ってか、『お兄ちゃん』って言葉が、マジで立ちの悪いAVのようです。
俺ってば、別に妹萌えな人間じゃないのに、ちょっとグラグラ来ます。
『そうだね・・・うん、こんな時にその呼ばれ方はいやだなぁ』
そういう問題じゃねぇ!!
「ねえ、未来・・・お兄ちゃんじゃないよ。名前で呼んで。
お前の口で僕の存在を証明してくれ」
「・・・か、ずきさん?」
「呼び捨てでいいよ」
和希さんは、そういいながら愛しい女にキスを繰り返す。
って、名前で呼ばれようがお兄ちゃんって呼ばれようが・・・
AV見てる感覚と変わりがありませーーーん!!
わかってんのか!和希さん!
って、俺もAV呼びかーーって、違う。
目の前で繰り返される、甘甘な言葉と行為。
俺はそれを黙って見てるしかないのかよ・・・
『黙ってはいないだろうに』
呆れたような言葉が聞こえる。
っつか、俺の言葉が聞こえるならやめてくれ。
『だから、それは出来ない相談だなぁ』
和希さんのバカ野郎ーー!
ってか、嬉しいんならその行為に没頭しろ!
『あ、没頭してもいいんだ。君が色々言うからうるさくて』
うるさいってなんですか?
俺のせいですか?
っつか、これって俺の体でしょうが!
『借りてるだけだって言ってるだろ?』
賃貸契約を結んだ記憶はございません!
『はいはい、じゃあ借りますから、よろしく』
よろしくじゃねぇっつーの。
俺の意思は無視っすか?
『君もそのうちその気になるよ。本当は未来のこんな姿、誰にも見せたくないけど。
借りている身だから仕方がないね』
勝手な事をぬかしつつ、和希さんの腕は未来の胸元へと進む。
いや、つーかこれは俺の腕だし!
どうやら未来は着やせするタイプらしく、服の上から見るよりも
随分と大きな胸をしている。
俺の手はどちらかというと大きい方なのに、その手にも有り余るほどの感触。
震える体は、もうある程度の快感を感じているらしく、
胸の頂点は硬く張っていた。
それを口に含むと、未来の体はびくりと震える。
「やっ・・・んんっ」
「可愛いよ、未来」
だから、ちょっと待って!
ああ、俺の手でそんなとこ触らないで。
嬉しいんだけどね、だけどね・・・あの男のプライドつーか・・・
ちょっと違うけど・・・友人出演のAVは見たくないっつーか。
『AV、AVうるさいよ』
和希さんの声は、ばっさりと俺の叫びを打ち砕く。
俺だって好きで叫んでるわけじゃねぇ。
混乱する俺を尻目に、情事は着実に進んでいく。
柔らかい太もも、その付け根に手を差し入れると
熱く溶けきった秘部が窺えた。
「もうこんなになってるね。感じてくれているんだ・・・」
「やだ・・・恥ずかしい」
「恥ずかしい事なんてない、可愛いよ」
未来の内部に指を差し入れると、柔らかく湿ったそこが指を締め付けてくる。
「だ・・・め・・・ああ、おにいちゃ・・・ん・・・」
「お兄ちゃんは禁止」
震える体を抱きしめ、口を塞ぐ。
熱く微かな吐息さえもその身に埋め込むようにして、和希さんは未来の唇をむさぼった。
って、俺も感じてるわけですけどね。
もう文句言ったって返事すらしてくれませんよ。
俺の存在無視っすか!?
くちゃくちゃと卑猥な水音が、薄闇の中響く。
濡れた指先が、熱くて溶かされそうだ。
「愛してるよ、未来」
そういうと、和希さんは未来の腰を持ち上げて、その中心にあるものをあてがった。
あるものっつったら、あるものですよ。
男の象徴。
男のシンボル。
俺のムスコ。
そう、俺のものなんだよ!
やめてーーー和希さーーーん。
それだけはやめてくれぇ!!!
半泣きの俺の言葉は、もう和希さんの耳には届いていないようだった。
返事も聞こえない。
そして、躊躇もないまま・・・貫いた。
「やぁっ!」
未来の嗚咽のような悲鳴。
そして、異質な何かを突き破るような感覚。
・・・未来は初めてだったんだ。
いや、俺だって何となくそうだろうなっとは思っていたけど
身をもって体験つーか、経験つーか、確認するとは砂粒ほども予想してなかった。
けど、気持ちいい。
キツ過ぎるほどの締め付けと、背中に回された腕。
紅潮した白い肌は、快感のせいなのか苦痛のせいなのか、うっすらと汗がにじんでいる。
まるで体全体を包み込まれたような、妙な錯覚。
これが気持ちよくなくて、何が気持ちいいんだ。
ってくらい、気持ちいい。
女を抱いた経験がないわけじゃないけど、こんなに気持ちいいのは初めてで・・・
って、俺のばーかばーか!不謹慎野朗!
気持ち良いもクソもあるかぁーーー。
これは俺の意思じゃない。意思じゃないっつーのに・・・
うわーん、犯してるのか犯されてるのかよくわからーん。
ってか、まあ犯してるわけじゃないから、ある意味犯されてるのか?
犯されて気持ちいいのか!俺!?
「痛い?」
「・・・んっ、でも大丈夫」
「じゃあ、少し動くけど・・・痛かったら言うんだよ?」
不謹慎な俺を置いてけぼりにして、愛し合っている2人は、幸せそうに微笑んだ。
目を瞑ったままの未来の瞼の端には、じんわりと涙が浮かんでいる。
そりゃ・・・幸せだろうさ。
結ばれないと思ってたのが、結ばれたわけだから・・・
快楽に支配されてる俺とは、全然違うだろうさ。
ちくりとした胸の痛みは、だけど繰り出されてくる快感の波に消されていった。
「あ・・・んんっ・・・」
初めてだからなのか、未来がそうだからなのか・・・
体が動くたびに襲ってくる快楽の波は、なんとも形容しがたい。
よくって、よくって・・・気持ちよすぎて。
気がついた時には、俺の欲望の塊が未来の白い肌を汚していた。


その夜。
和希さんは、まるで未来の体にセックスの快感を埋め込むように
何度も何度も未来を絶頂の淵へと導いていった。
もう・・・俺には抵抗する気力もないくらいに。






カーテンの隙間から、朝日がこぼれている。
眩しくて手をかざすと、すぐ傍にあるぬくもりに気がついた。
柔らかな絹糸のような髪が、俺の肩に纏わり着く。
思い出した。
思い出しましたよ。
昨日の夜のことを・・・
「やあ、おはよう」
「か・・・ずきさ・・・ん」
これ以上はないってくらい、幸せそうな笑みを浮かべた幽霊は
非常識な事に、朝の光を浴びながら佇んでいた。
「おはようじゃないっすよ!昨日は・・・」
「うん、昨日はありがとう。これで未来も僕の存在を信じてくれるよね」
「信じさせるためだけに、あんな事したんですか・・・」
幸せそうな、っというか・・・むしろ満足げで能天気な物言いに
なんだか、もう文句を言う気力もうせていく。
脱力感が拭えない。
隣に眠ったままの未来を起こさないように、そっとベッドからはいでる。
脱ぎ散らかされた服の中から、俺の服を選び取って
とりあえず、トランクスとジーンズに足を通した。
「で、お願いがあるんだけど」
「・・・・・・・・・・・」
きっと碌な事ではない。
怒っているんだ。ってのを主張するために俺は黙秘を通した。
「今度からはスキンを用意しておいてくれないかな」
「ハァ!?」
「だーかーだ。スキン。コンドーム。つまりは避妊具」
にっこりニコニコ微笑む幽霊。
スキンくらいは知ってるわい!!
ってか今度?今度って何だ!?
「今回は突発的だったから、何の用意もしてなかったけど。
妊娠なんて事になって、未来を傷つけるのはいやだろ?」
責任を取ってくれるのなら、それはそれでかまわないけど。
独り言のような呟きに、俺は二の句も告げないでいた。
責任って何だ!?
お、俺が何をした!?
「ほら、子供が出来たとしたら、やっぱり対外的には君の子供って事になるだろ?
そうなって困るのは君なんだしね。やっぱり避妊はしておかないと」
「い、い、いやです!今度なんて認めないっす!!」
「ダーメ。君の体に入るコツはもうわかっちゃったから」
「ってか、俺の体っすよ!」
「君だって昨日は『気持ち良い』って言ってたじゃない」
言った。それは言ったけど・・・
「聴こえてたんなら、やめてくれればいいじゃないっすか!!」
「う〜ん。あそこでやめたら体に悪いでしょ。
ほら、君だって役得だと思ってくれればいいよ」
なんの役得だ。
「また借りるから。よろしくね」
にっこりと微笑む和希さんの態度は、そら恐ろしいものを感じさせる。
こ、これは・・・拒否したら何をされるかわかったもんじゃない。
呪い殺すもあり。
ってか、乗っ取られますよーーー乗り移られますよぉ(号泣)
役得役得。
っと、楽しげに微笑む和希さんの頭に、なんだか角が見えるような気がする。
「お・・・俺が何をしたっつーんだ・・・」
「僕の姿が見えるのは君だけだし。君が何でもするって言ってくれたんじゃないか」
これはきっと幽霊なんて可愛いもんじゃない。
悪魔だ、絶対悪魔だ。
俺の人生は悪魔に乗っ取られるんだぁーーーー・・・確かに気持ちよかったけどさぁ。
俺の存在って一体なんなんだぁーーーーーーーーー!!!!?(涙)



とりあえず、未来が起きる前に家を抜け出した。
帰りはちょっと遠回りして帰らなければいけない・・・なんて思いながら。
目的?
そりゃ決ってる。
ドラックストアによるのさ(哀愁)


【了】
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◆◆◆◆◆◆◆◆一言◆◆◆◆◆◆◆◆

これ、本当に「そこに〜」の元ネタでした〜(笑)
一体全体、なぜこの話があんなにシリアスになったのか。
私もわかりませーん。
むしろ教えてほしいでーす(バカ丸出し)
っというわけで、「そこに存在するもの」元ネタバージョンでした。
苦情その他は前記通り、受け付けませんのであしからず(汗






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